眼球の内側には光を感じる神経の膜があり、これを網膜と呼びます。
この網膜に孔が開いた状態を網膜裂孔と呼びます。孔が開く原因としては、外傷や、加齢に伴う硝子体(眼内にある寒天状の組織)の変化が挙げられます。放置すると網膜剥離に進展し失明に至る危険性があるため、治療が必要です。
診療内容 眼底の病気
網膜裂孔
網膜裂孔とは
症状
網膜裂孔の代表的な症状は飛蚊症です。目の前にひも状あるいは虫、糸くずのような浮遊物が生じ、それが眼球の動きについて回ります。もうひとつは、目の前に閃光が走る光視症です。これは硝子体が網膜を引っ張る際の刺激が、光として認識されるためです。
レーザー治療によって、孔の周囲の網膜を焼いて固めます。これにより、網膜剥離に進行するのを予防します。この治療によって飛蚊症などの症状が消える訳ではなく、あくまでも網膜剥離を予防するのが治療の目的です。また、病状によってはレーザー治療を行ったにも関わらず網膜剥離になってしまうことも皆無ではありません。
当院では日帰りで網膜裂孔のレーザー治療を行っています。
治療の費用は1割負担で10020円もしくは15960円、3割負担で30060円もしくは47880円(手術料のみ)です(裂孔の程度により料金が変わります)。
網膜剥離
網膜剥離とは
眼球の内側には光を感じる神経の膜があり、これを網膜と呼びます。網膜は10層の細胞からできているのですが、その中の網膜色素上皮から残りの9層(感覚網膜と呼びます)が剥がれた状態を網膜剥離と呼びます。剥がれた網膜は光の刺激を脳に伝えることができません。また、剥がれた網膜には栄養が十分行き渡らなくなるため、網膜剥離の状態が長く続くと徐々に網膜の働きが低下してしまいます。
網膜剥離には裂孔原性網膜剥離(網膜裂孔が原因で起こる網膜剥離)滲出性網膜剥離、牽引性網膜剥離がありますが、一般的に網膜剥離というと最も多い裂孔原性網膜剥離のことを指します。
症状(裂孔原性網膜剥離)
網膜剥離の前駆症状として飛蚊症(小さなゴミのようなものが見える症状)や光視症(視界の中に閃光のようなものが見える症状)を自覚することがありますが、無症状のこともあります。病状が進んでくると視野欠損〔カーテンをかぶせられたように見えにくくなる症状〕や視力低下が起きます。網膜には痛覚がないので、痛みはありません。
治療には手術しかありませんが、2通りの手術方法があります。
1. 強膜内陥術(バックル縫着術)
眼球の外側にシリコンスポンジを縫いつけることで眼球を凹ませて、網膜の孔をふさぐ方法です。 孔をふさげば網膜の下にたまっている液は吸収されて、網膜剥離は治ります。
2. 硝子体手術
眼球の内側に器具を入れて硝子体を切除して、眼内に空気(またはよく膨らむガス)を入れることで内側から剥がれている網膜を押さえつけて治します。手術後にうつむきの安静が必要になります。
当院ではいずれの手術も対応できませんので、提携医院への紹介となります。
術後の経過観察は当院で対応させていただきます。
網膜静脈閉塞症
網膜静脈閉塞症とは
眼球の内側には光を感じる神経の膜があり、これを網膜と呼びます。網膜にはたくさんの血管が走っており、そのうち心臓に血液を返す血管を網膜静脈と呼びます。
いろいろな原因で網膜静脈が途絶えた状態を網膜静脈閉塞症と呼び、行き場のない血液があふれて網膜に出血します。網膜静脈の根元が閉塞した場合は網膜中心静脈閉塞症となり、網膜全体に出血します。また、静脈の分枝が閉塞すると網膜静脈分枝閉塞症となり、網膜の限局した部位に出血します。
主な原因としては、高血圧、動脈硬化が挙げられます。
1.黄斑浮腫(網膜の真ん中の腫れ)によって視力低下を来している場合には、腫れを引かせる薬剤(抗VEGF剤)を眼内に注射する治療が行われます。
当院では日帰りで抗VEGF剤硝子体内注射を行っています。
治療の費用は1割負担で約16000円、3割負担で約48000円です(薬剤料+手技料)。
2.血管閉塞が高度な場合には、失明を防ぐためにレーザー治療を行うことがあります。
特に網膜中心静脈閉塞症の場合には血管新生緑内障という難治性の緑内障を起こすことがあり、これを予防するためにはレーザー治療が必要となります。
当院では日帰りで網膜静脈閉塞症のレーザー治療を行っています。
治療の費用は1割負担で10020円もしくは15960円、3割負担で30060円もしくは47880円(手術料のみ)です(病状により料金が変わります)。
黄斑円孔
黄斑円孔とは
眼球の内側には光を感じる神経の膜があり、これを網膜と呼びます。網膜の中心には黄斑部と呼ばれる部分があり、細かいものを見るための細胞が集まっています。黄斑部が障害されると視力は急激に落ちてしまいます。この黄斑部に孔が開いた状態が黄斑円孔です。
症状
多くの場合、変視症(物がゆがんで見える)で始まります。進行すると中心暗点(視野の真ん中が暗い、見たいところが見えない)が出現します。視力は初期には比較的良好ですが、進行するにつれて下がっていき、最終的には0・1〜0・2程度まで低下します。
眼球の内側に器具を入れて硝子体(眼内にある寒天状の組織)を切除して、眼内に空気(またはよく膨らむガス)を入れることで内側から孔を押さえつけて治します(硝子体手術)。手術後にうつ向きの安静が必要になります。また、手術後の視力回復の程度は人それぞれです。
孔が大きかったり、孔が開いてからの期間が長いと孔が閉じにくかったり、視力が上がりにくかったりすると言われています。
当院では硝子体手術に対応できませんので、提携医院への紹介となります。
術後の経過観察は当院で対応させていただきます。
黄斑上膜(黄斑前膜)
黄斑上膜とは
眼球の内側には光を感じる神経の膜があり、これを網膜と呼びます。網膜の中心には黄斑部と呼ばれる部分があり、細かいものを見るための細胞が集まっています。黄斑部が障害されると視力は急激に落ちてしまいます。この黄斑部にか「かさぶた」のような余分な膜が張った状態が黄斑上膜です。進行するとこの膜がひきつれを起こし黄斑部の神経にしわができるため、見え方に障害が出ます。
症状
初期にはOCTなどで黄斑上膜を認めても自覚症状がないことも多く、進行すると視力低下、変視症(へんししょう)(物がゆがんで見える)、霧視(むし)(霧がかかったように見える)などが出現します。突然現れることはなく(突然気づくことはある)、いつとはなしにということが多いようです>
眼球の内側に器具を入れて硝子体(眼内にある寒天状の組織)を切除して、黄斑上膜を剥がして取り除きます(硝子体手術)。手術後の視力回復の程度は人それぞれで、変視症は軽減するものの、完全にはなくならないことが多いようです
当院では硝子体手術に対応できませんので、提携医院への紹介となります。
術後の経過観察は当院で対応させていただきます。
黄斑病変の自己チェック
片目をつぶって上の図の中心の黒い点を見て下さい。
線が曲がって見えたり、一部分が切れて見えたりしませんか?
もしそのような症状があれば、黄斑部に何らかの異常(黄斑円孔・黄斑上膜・加齢黄斑変性など)がある可能性があります。
その場合は医師の診察を受けることをお勧めします。
左右ともやってみてくださいね。