眼球の奥にある視神経が傷害されることによって、視野(見える範囲)が狭くなる病気です。
診療内容 緑内障
緑内障とは
緑内障の症状
緑内障の主な症状は「見える範囲が狭くなる」ということに尽きるのですが、初期のうちは自分で気づくことはまずありません。
視神経の障害はゆっくりと起こり、視野(見える範囲)も少しずつ狭くなっていくためです。
一般的に緑内障では、知らないうちに病気が進行していることが多くあります。
緑内障の有病率
2000年9月~2001年10月に岐阜県多治見市で大規模な緑内障の疫学調査が行われました。
結果は、40才以上の20人に1人が緑内障と診断されました。 その割合は年齢とともに上昇し、70才以上では10人に1人が緑内障と診断されました。
また、この調査で初めて緑内障と診断された人が全患者の89%でした。 これは緑内障と知らずに過ごしている人がたくさんいるということを示しています。
緑内障の検査
-
-
緑内障では視神経に異常が認められますので、眼底検査で視神経を観察することが重要です。
医師が倒像鏡と呼ばれる器械で目の中を照らして直接観察したり、眼底カメラで写真を撮ったりします。
1)眼底検査
-
-
-
眼圧とは眼球の硬さを表す数値ですが、緑内障と密接な関係があります。 眼圧計にはいくつか種類がありますが、主に用いるのは圧平眼圧計と非接触眼圧計です。
圧平眼圧計は点眼麻酔をした後、医師が眼球に丸い器械を当てて測定します。 非接触眼圧計は、患者さんの目に空気をプシュッと送り込むことで測定します。
2)眼圧検査
-
-
-
緑内障は視神経が障害される病気ですが、視神経は網膜の神経線維が束になったものです。
ですから、緑内障で視神経が障害されると網膜の神経線維も脱落したり薄くなったりします。 OCTは網膜の断層写真を撮ることができる器械なので、網膜の厚みを計測することで緑内障の早期発見に役立ちます。
3)光干渉断層計(OCT)
-
-
-
緑内障は視野が欠けていく病気ですので、病気の進行具合をみるために重要な検査です。 器械内部のドームのあちこちに光がついたり消えたりしますので、見えたらボタンを押すという検査です。
検査中、視線は動かさずにドームの中心をじっと見たままです。20~30分かかり、集中力も必要で、眠くなってしまうのでなかなか大変な検査なのですが、緑内障の病状を把握するには必要な検査です。
4)視野検査
-
緑内障の治療
眼圧を下げると緑内障の進行がほぼ抑えられることが経験的にわかっています。 したがって、眼圧を下げる治療を行います。
-
- まずは点眼で眼圧を下げることを試みます。現在は良い薬がたくさんありますので、多くの患者さんが点眼のみで良好な眼圧コントロールを得ることができます。1種類の点眼で眼圧下降が不十分な場合には、2~3種類の点眼を同時に用いることもあります。
1)薬物治療
-
- 眼で眼圧下降が不十分な場合には手術加療が必要となります。 しかし、緑内障手術はあくまでも眼圧を下降させるためだけのもので、失われた視野を取り戻すことはできません。
2)手術治療
よくあるご質問
- 緑内障の原因は何ですか?
- 現在のところ、原因はわかっていません。
- 眼圧が低ければ緑内障の心配はないですか?
- 日本人には正常眼圧緑内障(眼圧が高くない緑内障)が多いことがわかっています。
- 緑内障は遺伝しますか?
- 親が緑内障であれば子も緑内障になる、というような明確な遺伝はありません。ただし、血縁に緑内障の人がいる場合、緑内障を発症しやすいことがわかっています。
- 緑内障は点眼治療で治りますか?
- 残念ながら緑内障による視野障害を改善することはできません。緑内障の治療は悪化を食い止めるための治療なので、早期発見・早期治療が重要です。